節約“やりすぎ”は嫌われる?コストカッターのもたらす末路
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ビジネス・経営の世界では、経費の節約が上手で、無駄遣いの引き締めに意識が高い人材のことを、“コストカッター”と呼びます。
実際に私も、コストカッターと呼ばれる方の働きぶりを、近くでつぶさに見てきた経験があります。
その経験から学んだことや思ったこと、考えたことなどを、今回はご紹介させて下さい。
私の見たコストカッター社員…その徹底的な節約術とは
さて、「コストカッター」と言っても、多くの場合、これは役職名や部署名ではありません。会社から任命されるような、正式な肩書ではないんです。
ですが、その人の働きぶりから、「この人は節約=コストカットが上手だな、意識が高いな」という評判がついていくと、自然とコストカッターと呼ばれるようになります。
(もちろん、正式にコストカット専用の部署・担当者を設けている会社もあります。)
私の見たコストカッターも、そんな「自然な評判」で呼ばれるようになった方の一人でした。
その働きぶりは、まさにコストカットの鬼でしたね。
従業員の勤怠管理を徹底する…と言えば聴こえは良いですが、実際は徹底的な“残業禁止”。
少しでも残業をすると、その理由を厳しく追及され、さらに「反省と今後の改善について」の文章を1枚書かされる…といった徹底ぶりです。
どうしても時間がなく、残業しなければ間に合わない場合は、サービス残業にせざるおえない形になりました。
備品の無駄づかいなんて、もってのほかです。
たとえば、コピーミスや不要な書類です。それまでは、すぐシュレッダーに掛けて処理していましたが、丁寧に裁断してメモ用紙にするようにとの“改善”。
ですが実際は、ほとんどの社員が自分のメモ帳を持っており、PCや社用スマホにメモすることも多く、無駄紙で作ったメモ用紙はほとんど使われず…。
結局、メモ用紙を作る作業時間のほうがムダだと、現場の従業員には不評でした。
過度なコストカットがもたらしたもの
ここでは紹介しきれないほど、さまざまなコストカットを徹底的に行った「コストカッター社員」。
その結果、確かに会社の“数字”には、ある程度の効果が表れてきたそうです。
ところが、現場で働く人たちの空気は、最悪です。
もともと、「スピード感のある仕事のためには、多少のムダは仕方ない」という、スピード重視の会社だったこともあり、節約のための作業に時間を取られたり、仕事を中断させられることが、大きなストレスになってしまったんです。
結果、それまでのスピード重視の社風に慣れていた、優秀なベテラン従業員ほどストレスが大きくなり、続々と辞めてしまうことに。
戦力が急激にダウンして、会社全体が、大変苦しい状態になってしまいました。
さらに「対応のスピードが遅くなった」と顧客・取引先からも指摘されるようになり、顧客離れによる売り上げの減少も起こり始めました。
その様子を見て、もうこの会社は危ないと思い、私も転職したんです。
節約をやりすぎてはいけない、2つの理由
さて、このエピソードから、私たちの節約生活に活かせるポイントを、見つけていきましょう。
節約による効果は、限界がある
「費用対効果(コストパフォーマンス)という言葉は、ご存知でしょうか?
かけた費用や時間、労力etcに対して、どのくらいのメリットが得られるか…という考え方です。
節約・コストカットの費用対効果は、お金を稼ぐ・借りることの費用対効果を上回ることは、とても難しくなります。
家計の節約でも同じです。
たとえば、節約のために、3時間、何かを頑張って浮くお金と、パートやアルバイトで、3時間働いて得られるお金では、どちらのほうが多いと思いますか?
時給をやや低めに見積もって、880円で計算しても、3時間で2640円です。
同じ効果を節約で得ることは、可能でしょうか?
よほど無駄の大きい生活をしない限り、3時間あたり2640円の節約をするのは難しいと思います。
“人が離れる”ほうが、大きな痛手になる
節約やコストカットは、自分ひとりの努力だけでは限界があります。
周りの人や家族に協力してもらえなければ、効果的な実現はできません。
そのため、周囲の理解を得られないほど、過度なコストカットを行うと、人が離れていってしまうのだと思います。
私の見たコストカッターの働きぶりも、あまりに急激だったために、人離れを起こし、会社を傾けさせてしまいました。
これは、私たちの身近な生活でも、同じことだと思います。
「あの人はケチだ」と言われるような人と、仲良くなりたいと思いますか?
いくら節約を頑張って、お金を少しずつ貯めたとしても、いざという時に“助けてくれる人”がいなければ、本当に大変になってしまいます。
そんな人生は、つらくないでしょうか?
・頑張りすぎても、費用対効果に限界がある
・頑張りすぎると、人が離れてしまい、数字以上のデメリットをもたらす
こうした節約の限界、デメリットも、しっかり意識しておいたほうが良いと思います。
それも踏まえた上で、やりすぎにならない節約を、心がけていきたいですね。