税金を滞納すると、給与も全額差し押え?禁止範囲が効かない理由とは
[PR]当サイトには広告が含まれます
国民健康保険税の滞納問題について調べたところ、次のような体験談をいくつか見つけました。
「生活に必要な預金を差し押さえられた」
「給与が振り込まれて即、全額差押をされた」
「年金が全て国保に差し押さえられてしまった」
当座の生活資金が国民健康保険税に差し押さえられてしまい、明日からの生活に困った…という事例です。
もちろん、滞納した本人が悪いといえば、その通りです。
ですが、その罪の重さは、生活権を奪われるほど悪いことなんでしょうか?
生活権とは、いわゆる「衣食住」の権利です。
刑務所に収容されている犯罪者でも、寝る場所、着る服、食べ物には困らないように、配慮されていますよね。
つまり、生活権は刑法犯罪者にも保証されているんです。
一方、税金の滞納では、生活資金まで差し押さえられ、明日の食事にも困る…ということが起きています。
刑務所の犯罪者でも守られている生活権が、税金の滞納者の場合は、守られない場合もあるんです。
どう考えてもおかしい話です。
そもそも、私たちが税金を払うのは、「一人一人の国民生活を守るため」ですよね。
「みんなでお金を出し合って、みんなで生活を支えあっていきましょう」というのが、税金の基本です。
「支えるため、守るため」の税金で、生活権を奪われるようなことは、あってはならないはずです。
この問題について、詳しく調べて、考えてみました。
法の精神としてはNO、実態としてはYES
税金滞納の強制執行(差し押さえ)で、生活権が奪われる…。
あってはならないこと…のはずですが、現実にはたびたび起きています。
こんなことが、法律で許されているんでしょうか?
調べた結果、恐らく…これは私の考えですが、「法の精神としてはNO」、「実態としてはYES」だと思います。
確かに徴税担当者は、担当者個人の権限で、差し押さえを強制執行できる権限を持っています。
「歩く裁判所」と言われるほどの、強力な権限です。
しかしそれは、「生活や事業の維持に支障をきたさない範囲」での執行権限であることが、徴税法の第75条~第78条で決められています。
ですから、“法の精神としてはNO”。
…税金の徴収によって、生活権を侵害してはいけない…という精神が、明確に示されていると思います。
税金滞納の差し押さえで、生活に困る…そんな事態が起きるワケ
それでは、なぜ「滞納した税の差押えで、生活困窮に陥る」というケースが、現実に起きるのでしょうか?
これは、法律に穴があると、私は思っています。
徴税法には、「助成金・補助金・年金などの支援金」や、「給与の一定以上」は、たとえ徴税の強制執行であっても、差押してはいけない…という決まりがあります。
もちろん、納税者の生活権を守るためです。
ところが、給与や年金も、いったん預金口座に振り込まれれば、その瞬間から「預金」とみなされるんです。
預金には、差押禁止の決まりがありません。ですから、全額を差し押さえできます。
実際に、「給与が振り込まれた8分後に、振込先口座が差し押さえられた」という事例もあるそうです。
その方は、運よくキャッシングの融資枠が残っていたため、とりあえずの生活費は何とかなったそうです。
ですが、もしキャッシングの枠も残っていなかったら…申込みすらしていなかったら、大変なことになっていたはずです。
こうして「法律の規定」と「実際の運用」を見てみると、本当に強い違和感を感じます。
徴税の強制執行は、法の精神では認められない範囲までも、法の抜け穴を使って実行しているのではないでしょうか。
法改正をするべき
この問題について私は、一刻も早い法改正が必要だと思います。
もちろん、隠し財産への対応など、悪質な滞納者への処分は、しっかり強化してもらう必要があります。
ですが、生活を守るための税金に、生活権を奪われ、明日の暮らしに困る…ということが無くなるように…。
「徴収」だけでなく、「守る」ことも、考えてほしいと思います。