「サラ金分身の術」は実行可能?キャッシングの審査でウソをつくと…
消費者金融を利用するとき、「個人情報を伝えたくない…」と思うかもしれませんね。何か事情があって、申込みの時に「ウソの情報」を書きたくなるかもしれません。ですが、ウソの個人情報で、消費者金融からお金を借りることは可能なんでしょうか?
「ミナミの帝王」に登場する、『サラ金分身の術』
実は、人気マンガ作品「ミナミの帝王」実写劇場版第二作『銀次郎VS整理屋』の冒頭で、まさに「消費者金融にウソをついて、お金を借りまくる」シーンが登場しています。
満田から一人立ちした弟子・坂上竜一が、売れない漫才師・角谷勝とともに、ヤクザ関係のトラブルに巻き込まれ、「明日までに1200万円、耳を揃えて用意」しなければいけない…という事態になります。二人とも、そんな大金の持ち合わせはありません。
「サラ金(消費者金融)から借りるしかない」ものの、ブラックリストに載っており、それもできない…。ですが、二人は“ある方法”で、サラ金からお金を借りることに成功しています。
竜一「お前、ええ名前やないかい!これやったらいけるで!」
角谷「え、どうゆうことでっか?」
竜一「サラ金は、コンピューターに名前と生年月日を登録しよる。端末で照会した名前が、ブラックリストに載っとったら、もちろん金は貸しよらん。ところが、角谷勝(スミヤ・マサル)ゆう名前は最高なんや。お前の名前は、24通りに読めるんや!」
竜一「免許証の名前には、フリガナが振ってない。カドタニ・マサル、スミタニ・ショウ…」
角谷「ツノヤ・スグルとも読めまっせ!」
竜一「せや!ブラックリストには載っていない、別のお前が誕生するっちゅうわけや!これを名付けて…サラ金分身の術や!!」
-難波金融伝ミナミの帝王劇場版partII 銀次郎VS整理屋 より
…この作戦で二人は、名前の読み方を変えながらお金を借り、一日のうちに何十社から融資を受けて、一気に大金を用意します。しかも、そのお金は踏み倒そうと考えているわけですが…。
ともかく、こんな風に嘘の個人情報でお金を借りる「サラ金分身の術」、本当に可能なんでしょうか?気になりますよね!
実際には実行不可能!「サラ金分身の術」の弱点
さて、すでにお気づきの方もいるかと思いますが…。「サラ金分身の術」、これは実際にはすぐに嘘がバレてしまうでしょう。いくら名前の読みが違っても、住所、生年月日、顔写真など、その他の記載事項が同じなら、「同一人物」だとすぐにバレてしまいます。
名前の読み方だけを変えて別人になる…というのは、到底不可能でしょう。
ですので、この方法を使って、ブラックリストに載っている人がお金を借りたり、一日に何社と契約しても「申込みブラック」にならなかったり…ということは、実際にはありません。
(※申込みブラック…短期間のうちに複数社に申込みをすると、“多重債務者ではないか?”等と判断され、融資の審査に通らなくなること。1ヵ月の間に3社以上が、申込みブラックになる目安と言われています。)
そもそも、“ブラックリスト”自体が存在しない?
ちなみに、作中では何度も“ブラックリスト”という言葉が登場します。『あかんですて、僕、ブラックリスト載ってますもん』…etc。ですが、これも実は勘違いしやすいポイントの一つです。
ブラックリストとは、「お金を貸してはいけない人、信用できない人の名前がズラーっと並んでいるリストがあり、そこに名前が載っていなければお金を借りられる」というイメージがありませんか?ところが現実には、このようなリストは一切存在していません。つまり、ブラックリストは“ない”んです。
現実に存在しているのは、「個人信用情報」のデータです。職業、年齢、家族構成や、過去の借入・返済の履歴、滞納などの有無、現在借り入れがあるかどうか…といった情報が記録されています。
こうした情報を元に、銀行や消費者金融は、「この人にはお金を貸しても大丈夫かな?」といった判断をするんです。
マネしてはいけない、もう一つの作中エピソード
さて、ご紹介した「難波金融伝ミナミの帝王劇場版partII」では、嘘の申込みでお金を借りた角谷勝が、『サラ金は踏み倒しても、闇金である竜一には、きちんとお金を返す』といった趣旨の発言をしています。
こちらも実際には、絶対にやってはいけないことの一つです。
「サラ金には嘘の名前を伝えているので、踏み倒せる」と考えているようですが…ウソはすぐにバレ、各社から合法的な追求を受けることになります。踏み倒そうとすれば、虚偽申告、債務不履行といった事由で、裁判を起こされる可能性が高いですね。
一方、闇金業者は、それ自体が違法行為ですから、闇金から不当金利で借りたお金は返さなくて良いことになっています。もっとも、こちらも現実には、「不当金利だから払わない」と言ったところで、“大変恐ろしい目”に遭わされるだけのような気もしますが…。
「無理な借金はしない」
「嘘をつかない」
「闇金から借りない、関わらない」
この3つのポイントをしっかり守ることが、あなた自身の大切な人生と財産を守る、現実の方法です。